03 Nov 2021

CHUA Kee Lock

Vertex Perspectives | 急速に変化する世の中で 「企業文化」は競争優位性になり得るのか?

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「成功を収める企業は、適切な人材を選ぶにあたり、学歴、実践的なスキル、専門知識、実務経験ではなく、人の性格を最も重視している。」

—ジム・コリンズ、ビジネスコンサルタント、《Good to Great》著者

全ての従業員は、会社の方向性をつくり上げる役割を担っており、リーダーシップは、企業文化に最も重要で直接的な影響を及ぼすものだ。そして企業文化は、人材の維持や職場の生産性といった企業のさまざまな側面に影響を与える。Vertexが出資するスタートアップの創業者の多くも、企業文化を重要な成功要因として挙げている。

リーダーシップは、従業員の自信を生み出すことに繋がる。例えば、従業員の仕事のミスを、勉強の機会と見なすのか、それとも単なる失敗と見なすのかにより、従業員の失敗に対する捉え方が異なってくるだろう。企業文化は、リーダーがつくった共通の価値観であり、日々の行動やコミュニケーションを通じて伝達される。従業員が、深く企業文化を理解して行動することは、会社がミッションを達成していくためのパワーとなる。

Vertexでは、企業文化を重要視している。従業員の満足度は、彼らの仕事の遂行と成果に直接影響するだろう。特に、F1レースのように競争著しい環境でハイパフォーマンスを上げるチームにとって、満足度は非常に重要だ。ベンチャーキャピタルおよびスタートアップチームにとって、企業文化、考え方、行動規範は、長期的な競争優位性、アジリティ(機敏性)、適応性の源泉となる。

文化 | チェンジマネジメントとリーダーシップ

企業文化は通常、企業のトップ層から内部組織に浸透する。浸透した企業文化は、社内の全員が触れる共有のシステムのようでもある。採用、能力開発、ステークホルダーとのやり取り、チェンジマネジメント、パフォーマンス志向、リスク管理、組織的行動といった企業のあらゆる側面で影響を与えるものである。

企業文化の話をする際、リーダーが最初に考えなければならないのは、ミッションを成し遂げられるチームであるかという点だ。悪い習慣を変えることは難しく、ましてや消極的な性格の人にとってそれは更に難しい。ミッションを達成するために文化を変えようとする場合、行動と考え方の双方における改革が必要だ。そこで、誰が何かするのか示すことは、リーダーの重要な役目である。リーダーが、従業員の信頼を集める存在でありながら、チームをまとめていくことで、企業文化は徐々に形成されていく。

リーダーシップに重要な資質として、誠実さ、ドメインの専門知識、思いやりの心、物事を動かしていく力が挙げられる。これらは、組織を変化させる上でも重要だ。良いリーダーは、教えたり励ますだけでなく、精神的な支えになったり、自信を持たせて能力を開化させることもできる。

会社が成長する過程でマイルストーンを持ち、タスクの完了や物事の改善を認識できるようにしておくことは重要である。マイルストーンが無いと、従業員は先の見えない倦怠感や絶望感を感じてしまうだろう。仕事に全力で従事することと、マイルストーン達成時に息抜き(時にはお祝い)することの、絶妙なバランスを保つことは、組織が成長し続ける秘訣とも言える。

リーダーにとって、企業文化をつくることは、難しい挑戦だ。大胆で自信に満ちたリーダーだけが歩む道のようにも思えるが、企業文化の創造は全てのリーダーに求められることであろう。

リーダーにとって、従業員に敬意を持って接したり、誰もが最高のパフォーマンスを上げられるための職場作りを行うことも重要だ。従業員一人一人の会社への貢献が認められ、さまざまな能力が開化するような環境が、従業員の更なる成長に繋がっていく。

会社のビジョンやミッションを信じ、バリュー(共通の価値観)を持つチームをつくるには、何年も掛かるだろう。投資家、取引先、お客様、上司部下、同僚といった、社内外の関係性の中で、自分にしてほしいことを相手にすることの積み重ねで、会社の価値観がつくり上げられていく。

リーダーシップは常に磨き上げられるべきである。チームは、リーダーを信頼し尊敬した時に、最も素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれるだろう。信頼するリーダーの期待に応えるための最大限の頑張りを見せてくれるはずだ。立派なリーダーは権力ではなく、チーム全員の信頼と尊敬により成り立つものである。

企業文化は、Character(人格)、Capability(能力)、Connection(繋がり)といった要素から成り立っている。

Character(人格)| 会社にとっての「人」の重要性

優秀なリーダーは、単に物事を決めるだけでなく、会社や従業員に貢献しようとする姿勢も忘れない。リーダーの仕事振り、コミュニケーション、マネジメントスタイルは、企業文化に影響を与え、会社が成功していく上でも重要だ。

ベンチャーキャピタリストとして私たちのポートフォリオ企業を見て思うことは、創業者の価値観が会社としての価値観に通じているということである。創業者の価値観は、私たちの投資判断において重要な要素でもある。私たちは、謙虚で自信を持ち、新しいアイデアにオープンで、「People-first(人を一番に考える )」な起業家が率いる会社の成長に期待している。

Vertex Ventures SEA&Indiaは2013年、当時ほとんど知られていなかったマレーシアの配車サービスを営むスタートアップの創業者に出会った。彼の他の人とのやり取りの様子を見るなか、起業家としての魅力を感じ、出資に至った。

Straits TimesのインタビューでVertex HoldingsのCEOであるChua Kee Lockは、「意見が合わない時、人がどのような態度を取るかを観察することは重要です。(上述配車サービススタートアップの創業者と一緒に食事をした際)お母様への話し方や対応を見た瞬間、この人は身内に対しても誠実にコーチングができる人だと思いました。さまざまな事は全て最終的に「人」に起因しますし、人柄はスタートアップファウンダーにとって重要です。」と述べた。

このスタートアップの共同創設者とは、東南アジアで最初のデカコーンであり、同地域をリードするスーパーアプリであるGrabのCEOのAnthony Tanである。Grabの強みは、Heart(ハート)、Honour(名誉)、Humility(謙虚)、Hunger(好奇心)の「4H」から成る企業文化だ。これらは、Grabの共同創設者であるAnthonyとTan Hooi Lingの両者の価値観を反映したものであり、彼らは今も尚、その価値観を強く持ち続けている。

Capability(能力)| 継続的な学びと成長

従業員は、それぞれお互いに学ぶ価値のあるものを持ち合わせている。優秀なリーダーは、チームの専門知識の発展や、長期的な成長に深く関わっていく姿勢を忘れない。

仕事に情熱を持っている人は、自分の能力を発揮する機会を望んでいる。リーダーの役目は、従業員それぞれが能力を発揮できる環境をつくり出すことである。

Connection(繋がり)| 人と人との繋がりと結びつき

Vertexのポートフォリオ企業であるPatSnapのCEOのJeffrey Tiongも常に、企業文化の重要性について話している。PatSnapは、SaaSエンタープライズソリューションのユニコーン企業で、特許やR&Dに係るイノベーションインテリジェンスを提供している。Jeffereyは創業当初から、理想的な企業文化づくりを意識しており、彼自身や同僚が「PatSnapで働いていてよかった」と思えるような職場を提供できるよう常に努力してきた。

「“文化”は、特にグローバル企業において繋がりを強めるものです。私は、文化を単なる言葉ではなく、会社の雰囲気に溶け込むようなものとしたいと思っていました。私たちがつくり上げてきた文化を誇りに思っています。日々の会議、プロダクトリリース、電子メール、オフィスといった会社の全てにおいて、従業員のコミットメント、やる気、根気強さを感じられます。」とJeffereyは述べた。

Jeffreyは、急成長のグローバル企業のチームが、どのように繋がりを保ち、価値観を共有してきたかについても話してくれた。

「世界で1,000人を超えるチームとなった時、会社が急成長するなか、共通の価値観を持って、同じ大きな目標に向かっていくのはどうしたら良いか考え始めました。そこで、私と経営陣は数日間集まって話し合い、誠実さ、リーダーシップ、開放性、成長、イノベーション、顧客第一という6つのバリュー(共通の価値感)をつくり上げました。チーム全員がその価値観をよく理解し、普段の仕事で意識できるように努めてきました。」と述べた。

急速に変化する世の中で競争力になる「企業文化」 とは

世界は常に変化している。企業文化自体も、世界の変化に合わせ、柔軟に適応させていく必要がある。それには、リーダーと従業員の間における理解と信頼が必要であり、日々のコミュニケーションは不可欠である。リーダーは、会社内でオープンなコミュニケーションが行われるための方法や環境を定める重要な役割を担っている。

経営陣は、従業員が必要とすることを打ち明けられるよう促し、会社へのフィードバックの良い点にも悪い点にも耳を傾けることで、会社の方針が従業員のニーズを満たしているかを確認することができる。ただ、全ての従業員がオープンに話してくれるとは限らないことから、リーダーは、従業員の満足度の微妙なニュアンスに気づき、意見を収集する必要があるだろう。

フィンテックユニコーンNiumの共同創業者兼CEOのPrajit Nanuは、 「多くの人は、匿名の方が安心して意見を言えると感じています。以前、会議中に質問をしても反応してくれる人がいなかったにも関わらず、匿名にした途端意見が殺到したことがありました。会社の方向性から戦略まで、さまざまな質問が上がってきました。」と述べた。

またParjitは、「私は、自身ができるだけ身近な存在になれるように努力してきました。特に、上層部のメンバーには定期的に電話を掛け、何が起こっているのか理解するよう努めています。彼らは、あなたと同じ船に乗るわけですから、あなたがつくり上げたいものを理解し、あなたとの深い絆をつくるべきです。彼らとの関係性を近く保つこと以上に重要なことはありません。」とも話した。

優れた企業文化をつくり上げることは、会社の永遠の取り組みであり、容易なことではない。ただ、うまくいけば企業文化は、会社としての競争優位性となり、良い時も悪い時も導いてくれる北極星のような存在として、会社を長期的な成功へと率いてくれるだろう。

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